書き込みされ準備完了

仕事、仕事で家に居なかったからだ。授業参観や運動会へ一度も顔を見せず、帰りも遅い。休みはゴルフ。家族旅行や遊園地も母と3人で行った記憶のみ。

そして、定年の日、母は離婚届を突き付ける。さぞ、親父もビックリだろうね。そん時「失礼致します」、さっきの担当が入って来る。

戻されたやつには、さっきは白紙だった診断書部分に書き込みがされ、病院の印鑑が押されている。

コピーが沢山あり、何に使うのか。後で、色々と必要になるからと説明。これからそれほど、手続きがあるのだろうか。

「しばらくは忙しくなりますよ」付け足され、意味が分からず。死亡届を手に持ったまま、眠る父を見る。当たり前だがさっきと何も変わらず、少し開いた口もそのまま。

ほんの2時間前までは、生きていたのに。でもなんだか、少し全体的に縮んだような気もする。そういえば、魂抜ければ体が小さくなると、何かの本で見かけた気も。